10月21日（金）＜151日目＞ 現在地⇒宮城県石巻市網地島「長渡待合所」
コバルトラインを超えて
昨夜寝る前に夜空を見上げたら所々に点在するいわし雲の間からオリオン座が見えた。「もうそんな
時期になったんだなぁ…」と言うことはもうさそり座は見えないって事だ。昨日で5ヶ月、随分長い旅になり
そうだ…などと考えながら眠りに着いた。
起床は06時。テントの外に出てみると地元のおじさんが大勢集まってきた。これから牡鹿半島の方に
行く予定ですと伝えると、
「自転車じゃ今日中に行くのがやっとだ〜」と。
そう、今日は半島を周って、出きれば網地島に渡る予定なのだ。
色々とルートを教えてもらったけど私のルートとは違う。楽な道よりもより大変な道を行くのだ。
07時30分出発。本当に辛い三陸のアップダウンは今日で終わりだと気合を入れる。
ところが…重い、私の体ではなく自転車が。今日の夜は水の確保が困難かと思ったので久しぶりに水
を1リットル積んでいたのだけどそれが重い。
まるで石でも積んでいるか後ろから引っ張られているような感じだ。
最初のほうはそのまま坂を越えていたけど、勾配の急な坂を登るのがあまりに辛かったので途中で捨
てる！こんなの持ってられるか！
しかしたった1kgがこれほど重いとは…。今になって再認識できたので、まだまだ軽量化を計ろうか…。
グラム単位でも軽くしたい。
まあ、この三陸を抜ければ少々重くても関係ないと思うけど。
志津川からR398で女川方面へ。「国道398号改装工事の早期着工を！」なんて看板があるくらい道は
狭く、コーナーも多い。交通量は格段に少ないのが救いか。
R398で見つけたモアイ像。ぶっさいくやな〜（笑）しかし何故こんなところにモアイさん？
東北一の大河「北上川」を越えると本日最初の峠「釜谷峠（200m）に差し掛かる。最近アップダウンより
峠のほうが楽だと思い始めている。一気に登って一気に下るほうが気分的にいい。いつ終わるともわか
からないアップダウンよりはよっぽどマシだ。
この峠はたった200mなのであっという間に登りきる。しかしその後に待っていたのは「リアスブルーライ
ン」。その名のとおりリアス式海岸を楽しめるルート。ただし自転車は相当しんどい。
道は更に狭くなり、アップダウンも酷くなってきた。
道沿いに桜が植えられていて、春にドライブなんかしたら最高に綺麗なんだろうなぁ。
女川には12時30分に到着。スーパーで団子と行動食を補給していよいよメインイベントコバルトライン
に挑む。
牡鹿半島を行くにはこの道か、海岸沿いの県道2号を行くしかないけど最短距離の山越えを選択。
最初の5kmはこれでもかと言う登り、最大斜度9％。
“コバルトライン”とか、名前のかっこいい道は景色のいいことが多いけど、それは自転車には辛い道
と言うことを現しているのだ。
〜ラインには要注意だ。
それでも登れば登っただけ景色がいいことは確かで、峠の山頂にある駐車場から眺める女川湾の眺
望は素晴らしい！
この景色があるから登ってこれるんだよなぁ。
コバルトラインから女川湾を望む。絶景かな〜♪
3つくらい峠を越えてフェリーの出ている鮎川港に到着したのは15時30分過ぎ。丁度フェリーが出港した
後だった…。宮城の島はこんなんばっかりだ。
ここで野宿か〜と思っていたら金華山行きの丸中金華山汽船の方が「夕方になれば久丸入って来るか
ら、それに乗れば網地島行けるべ」
おお〜、まじっすか！？てっきりフェリーしか手段が無いと思っていたのに、それはありがたい。別に今
日無理して島に渡る必要はないんだけど、ここで時間潰すのももったいないしね。
16時過ぎに久丸が入港。個人で運営している渡し舟らしく、頼んだら自転車もOKってことで乗船。漁船
ルックなこの船に荷物と自転車を積み込む。
16時45分に出港。なんか以前勤めていた時に乗っていた船に似ていてそれが懐かしい感じがする。揺
れ方も激しくて、そんなところまで似なくても…。
こんな船で島に渡るのも旅のテンションを上げてくれる。
網地島（あぢしま）の長渡港に到着。長渡と書いてフタワタシと読む難読地名だ。
料金は1000円と言われたけど小銭が900円しか無いと言ったらそれでいいって。旅客が450円だからフ
ェリーとほぼ同じ運賃かな？
到着すると地元の人が話しかけてきて日本一周中だと言うと「ここは海外だから来なくてもいいんだよ」
と冗談。
鮎川の人も、今の船長さんも「待合室で寝ればいい」と言っていたのでそうすることに。室内で寝れると
言うことは嬉しいね。明日は雨模様なので自転車も中に入れてラジオを聴きながら日記を書く。
時刻表を見ると明日行く「田代島」までは1日3便。しかしフェリーは1便しかないことになっている。一気
に田代島→石巻と行く予定だったけど無理かもしれないな。
東北にこんな島があるとは今まで知らなかった。この旅をしていなかったらその存在すら知らず、まし
てや足を踏み入れることなんか一生なかったかもしれない。
伊豆諸島や小笠原諸島はこれからも行く可能性があるけど、こんな島巡りも楽しいものだ。
